トラブルシューティングガイド
クライオポンプの構造は比較的単純ですが、原理・取り扱いについて理解されているお客様は以外と少なく、取り扱いを誤り破損させたり、問題の無いポンプを交換したりと無駄な労力とコストを費やしている場合があります。
ここではクライオシステムのトラブル事例、原因と対策 又、ポンプ・コンプレッサーの予防保守を理解いただき、お客様の無駄な労力と費用を削減することに役立てていただける情報をご紹介します。
クライオシステム トラブルシュートについて
- クライオポンプ トラブル事例(原因、現象、対策について)異音・振動、再生不良、到達圧力・リカバリー不良、通信エラー、温度異常、その他
- ポンプエラーメッセージについて
- ポンプ トラブル現象と原因のマトリックス表
- コンプレッサー トラブルシュートガイド
- コンプレッサー トラブル現象と原因のマトリックス表
1.クライオポンプ トラブル事例(原因、現象、対策について)
異音・振動、再生不良、到達圧力・リカバリー不良、通信エラー、温度異常、その他
現象分類
S1:クライオポンプ 異音・振動
代表的な原因対策例
1.Heガスのエアー
現象:
1) クールダウン中 200Kを過ぎたあたりから異音、振動が徐々に大きくなる
2) 異音は小さいがリジェネすると異音が無くなる (他のポンプに異音が移る)
*症状の軽いコンタミの場合 異音はせず 温度が上昇する
3) ポンプを運転しても まったく冷えない⇒モーターシャフト折れ
原因:
Heガス中にエアー 又は、オイルが混入
対策:
Heホース Heガス置換(アドソーバ交換)
対策を怠った場合:
クライオポンプ モーターシャフト折れ
症状がきびしい場合⇒ ポンプ、Heフレキシブルライン全交換
2. オイル コンタミネーション
現象:
クールダウン中 200Kを過ぎたあたりから異音、振動が徐々に大きくなる
原因:
コンプレッサーのアドソーバの定期交換の怠り、コンプレッサー冷却不足によりオイル成分がアドソーバを越えHeホース、ポンプをオイル汚染し異音を発する
対策:
Heホース、ポンプの全交換
S2 S3:クライオポンプ 再生不良
代表的な原因対策例
現象:
Full・Fast リジェネ中 エラー(シーケンスが進まない)
原因:
1) N2パージ圧が低い
2) N2パージ時間が少ない
対策:
1)N2パージ圧を上げる…2.8~5.6 kg・f/cm
3
パーティクルの問題がなれれば、パージ圧を高くする
2)N2パージ時間 Buffer=40~60min
Transfer=30~40min
Process CH=20~30min
S4:クライオポンプ 到達圧力不良・リカバリー不良
代表的な原因対策例
1) 到達圧力不良
現象:
チャンバー真空引き12h経過後 到達圧力に達しない
原因:バルブシール部真空リーク
(リリーフバルブ、パージバルブ)
対策:
シール面のクリーニング
2) 圧力リカバリー不良
現象:
ガス停止後 真空リカバリーが悪い
原因:
1)ヒーター切れ等による ポンプの冷え過ぎ(Arハングアップ)
2)TiNプロセス Ar/N2ガス使用によるポンプFULL状態
対策:
1)ポンプ1st ステージ温度の適正化
(ヒータ切れの場合、ポンプ交換)
2)TiN2プロセスの場合 Enhancedポンプへのアップグレード
S5:通信エラー(コミュニケーションエラー)
代表的な原因対策例
1) ケーブル断線・接触不良
現象:
装置 CRTでCTI Communication errorを表示
原因:
クライシステム(ネットワーク内)又は、装置-NIT間でケーブル外れ、断線、接触不良
対策:
NIT表示エラーメッセージを確認し対処
*NITでポンプを認識する⇒2) しない⇒1)
1)ネットワークケーブル 導通、接続の確認
2)装置~NIT間のRS-232Cケーブルの導通、接続の確認
2) クライオシステムにノイズ混入
現象:
装置 CRTでCTI Communication errorを表示
原因:
ターミネーター(ダミー抵抗)の未装着
対策:ターミネーターの装着
S6:クライオポンプ温度上昇
ポンプに問題ありの場合
代表的な原因対策例
1) ポンプ冷凍機に問題あり
原因:
クライオポンプ冷凍機能力低下
1)ディスプレーサシール磨耗、汚れ
2)He開閉バルブのシール磨耗、開閉タイミングのズレ
現象:
プロセス時 温度が上昇する、温度がふらつく
対策:
クライオポンプ交換
2. ポンプ温度検知部に問題あり
原因:
実際ポンプ温度は冷えているが 1st、2ndどちらかが異常な温度表示する
1)温度センサー不良、モジュール故障
2)温度センサー 又はポンプ内の部品取り付けネジ緩み
現象:
異常な温度表示をするが 到達真空度、真空リカバリー問題無し
対策:
クライオポンプ交換
コンプレッサーを共有する他のポンプに問題がある場合
原因:
コンプレッサーを共有する他のポンプのバルブシールに問題がありHe回路がバイパスされ問題の無いポンプにHeガスが行き渡らず温度が上昇する。
現象:
1)交換したばかりのポンプの温度が上昇する、温度がふらつく
2)他のポンプを1台停止すると 温度が下がる
3)ポンプ温度は問題無いがクールダウン時間の長いポンプがある
対策:
原因の元であるクライオポンプの交換
コンプレッサー電流値とHe圧力差圧の関係補足
*通常ポンプが冷却する為にはHeサプライ側とリターン側の圧力差圧は200psi必要となります。
M9600の場合 サプライ側が300psi、リターン側が100psiです。
ここで1台のポンプのHe開閉バルブシール問題が発生し、サプライとリターン側のHeホースがバイパスされた場合コンプレッサーのリターン圧力は若干上がります。
又、電流値で考えた場合 Heサプライ側とリターン側がバイパスされるとコンプレッサーの負荷が軽くなり電流値が下がります。よって不具合ポンプを切り離した場合 コンプレッサーの電流値は1~2A上昇します。(言いかえれば コンプレッサーはクライオポンプを運転していない時に、消費電力が1番大きい。)
*Heホースがバイパスされたポンプは、Heガスを多量に消費する為 温度は冷えますが、冷却効率が悪い為クールダウン時間が長くなります。
コンプレッサーに問題がある場合
代表的な原因対策例
原因:
コンプレッサー能力低下
1)Heガスの圧力不足(流量不足)
2)Heガスの差圧が取れない
3)冷却水不足
現象:
プロセス時 温度が上昇する、温度がふらつく
対策:
1)Heガス充填 停止時 M8510=200-210psi(50Hz/60Hz)
M9600=255-265psi/50Hz, 240-250/60Hz
2)コンプレッサーの交換
3)冷却水の適正化
その他:クライオポンプ動作しない
代表的な原因対策例
原因:
1)コンプレッサーからの電源が供給されていない
・コンプレッサー不具合
・フリクエンシーコンバータ、スリーフェイスモーターコントローラー不具合
2)ポンプ モジュール不良(ヒューズ切れ)
現象:
ポンプが動かない
対策:
1)コンプレッサー、コンバータの交換
2)クライオポンプの交換
*クライオポンプが動作しない場合はコンプレッサーの出力電圧を確認する。
2.ポンプエラーメッセージについて
Endura CRTにCTIエラーメッセージが表示され原因が不明の場合、NITの液晶画面をご確認下さい。
NIT液晶画面に表示される代表的なエラー例
・NO CRYO POWER 1
原因:コールドヘッドモーターへ1相しか電源が供給されていない
対策:コンプレッサーを確認
・ NO CRYO POWER 2
原因:コールドヘッドモーターーへ電源が供給されていない
対策:コンプレッサーを確認
・OPN
原因:温度表示部にOPN表示が現れた場合、ダイオード゙回路に問題あり
対策:ポンプ交換
・SHO
原因:温度表示部にSHO表示が現れた場合、ダイオード゙回路に問題あり
対策:ポンプ交換
3.ポンプ トラブル現象と原因のマトリックス表
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4.コンプレッサー トラブルシュートガイド
M9600コンプレッサー トラブルシュート
| 問題 |
要因 |
対策 |
| ・システムサーキットブレーカーをONすると瞬時にトリップする。 |
・入力電源の位相が正しくない。 |
・3相の内2本を入れ替える。 |
| ・システムサーキットブレーカーをONしても起動しない。 |
1)電源が供給されていない。
2)コンプレッサーリモートコネクタが付いていない。
リモート運転をしている場合。
|
1)電源を供給する。
2)リモートコネクターを装着する。
3)装置側信号を確認する。
|
| ・コンプレッサー動作後 数分で停止する。 |
・過熱保護スイッチ動作 |
・冷却水を確認する。 |
| ・漏電ブレーカーがトリップする。 |
・OB-PUMP ヒーター漏電 |
・PUMPケーブルを外しコンプレッサー単体で運転。
原因がPUMPの場合PUMPを交換する。
|
M8510コンプレッサー トラブルシュート
| 問題 |
要因 |
対策 |
| ・圧縮機は動作するがクライオポンプが動作しない。 |
・入力電源の位相が正しくない。
・コンプレッサー内ヒューズ不良。
|
・3相の内2本を入れ替える。
・ヒューズ交換。
|
| ・コンプレッサー動作後 数分で停止する。 |
・過熱保護スイッチ動作。 |
・冷却水を確認する。 |
| ・振動が大きい。 |
・圧縮機固定不良。 |
・ナットを緩め防振ゴムを挿入。 |
| ・Heリターン圧力上昇。 |
コンプレッサー内 バルブプレートシール不良。 |
・コンプレッサーオーバーホール。 |
5.コンプレッサー トラブル現象と原因のマトリックス表
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参考資料 M9600コンプレッサー
参考資料 M8510コンプレッサー